グレイズ ラビリンス
prologue
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白い点が幾つか見える。
車の窓ガラスに付いた雨のように、向かいの光に当てられ、輝き、ぼやけていた。
ゆっくりと、それは無規則に闇を滑り落ちる。
やがて、闇しか見えなくなった。
カツッカツッ――
靴音が響く。
闇が揺れた。
近づいた影は人型を成し、口角を大きく上げた。
「やっとお目覚めか? ――姫」
その者の瞳は悲しい色を宿しているのに、口から見えた黄ばんだ不揃いの歯は、嫌らしいくらいに目立っていた――
車の窓ガラスに付いた雨のように、向かいの光に当てられ、輝き、ぼやけていた。
ゆっくりと、それは無規則に闇を滑り落ちる。
やがて、闇しか見えなくなった。
カツッカツッ――
靴音が響く。
闇が揺れた。
近づいた影は人型を成し、口角を大きく上げた。
「やっとお目覚めか? ――姫」
その者の瞳は悲しい色を宿しているのに、口から見えた黄ばんだ不揃いの歯は、嫌らしいくらいに目立っていた――
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